【2018年2月】カスタマイズEC業界の動向が一目でわかる記事11選
この記事では、小売・EC業界で近年注目されている「カスタムオーダーEC」「パーソナライズ」「オーダーメイド」「D2C(Direct To Consumer)」などのキーワードに関連する、業界の情報を1ヶ月単位でまとめてお届けします。
・業界の最新動向をチェックしたい
・今、急成長中のサービスについて知りたい
・業界をまたいで、有益な情報を入手したい
とお考えの方は、この記事を読んでいただければ、毎月押さえておくべき情報を効率的にインプットすることができると思います。長くなりますが、どうぞ最後までお付き合いください。
もくじ
■ 山喜、メルボ工業と4月1日(予定)に合弁会社を設立 “メイドインジャパンブランド”をテーマに新プロジェクト始動
■ 測るだけでスマホに採寸データ、IoTメジャー「hakaruno」、クラウドファンディング開始
■ 在庫リスクゼロの新流通システム、シタテルが生産一体型コマース「スペック」始動
■ 米国三井物産がカナダのメード・トゥ・メジャーのスーツブランドに投資
■ ZOZOSUITに挑む「ECアパレルの黒船」、米オリジナルスティッチCEOの野望
■ オンライン発のオーダーファッションレーベル「FABRIC TOKYO」が渋谷MODIに新店舗をオープン!ひとりで買い物ができる無人オーダーカウンターを設置
■ 実力は「ゾゾ」以上!?急拡大する中国マスカスタマイズ服のキーマン2人を直撃
■ 世界最大の中国スーツ工場が、相次ぎスーツのオンラインSPAに出資
■ 中国アパレルRed Collarが挑む完全オーダーメード、型紙のデジタル化で脱OEMを図る
■ オリジナルネイルが作れるアプリ「YourNail」、サイズも含めたフルオーダーメイドに対応
■ 山喜、メルボ工業と4月1日(予定)に合弁会社を設立 “メイドインジャパンブランド”をテーマに新プロジェクト始動
アパレル関連です。
国産ドレスシャツメーカーの山喜と「麻布テーラー」を運営するメルボグループの製造会社が合弁会社を設立に向けて合意、4月以降、メイドインジャパンブランドを販売するプラットフォーム事業を運営予定、との発表。
プレスリリースを斜め読みすると表面的な理解で終わってしまう、、のも嫌なので、ポイントだけ絞り、深掘りして考えたところ、以下のようなことに挑戦しようとしているのかな…?と思いました。
・そもそも、新しいプラットフォームは、メイドインジャパンの商品(洋服)を世界の消費者へ販売し、売上を上げることがミッション(海外販売に向けた新しい販売チャネルの確立がファーストミッション)
・最初は国内の工場を集め、商品をオンラインストアとポップアップストアなどのお店で販売し、徐々に双方の強みを出し、PBブランドの開発と販売を進める(おそらくカスタマイズニーズを踏まえた、オーダーメイドの商品)
・プロモーションを増やし、「メイドインジャパン」「オーダーメイド」「ものづくりの背景が見えるトレーサビリティー」を訴求したPBブランド(スーツ・シャツ)の立ち上げ、販売をする
…と、これは完全に妄想ですが、プレスリリースにもあるように「カスタマイズニーズを捉えた合弁会社設立」であること、近年アパレル業界で注目されている「ものづくりの透明性」の文脈を踏まえた動きのため、4月以降、どんなプラットフォームが立ち上がるのかが楽しみです。
ほか、立ち上げ後〜プラットフォームへの集客の課題をどう解決するのか?に興味が湧いてます。
■ 詳細はこちら
http://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/180201/prl1802010802005-s1.htm
■ 測るだけでスマホに採寸データ、IoTメジャー「hakaruno」、クラウドファンディング開始
クラウドファンディング関連です。
画像に計測したサイズを自動追加できるIoTメジャー「hakaruno」がプロジェクトを開始しました。
目標金額、10,500,000円に対して、現在2,000,000円〜が集まっている状況なので、まだまだこれからな印象ですが、メジャーのようなアナログな商品を電子化するアプローチに非常に興味が湧きました。イメージを形にされているのは、本当に尊敬です。。
商品の使い道として、「ECサイト運営での商品採寸」「アパレル業務の採寸」「検品業務での採寸」などを代表例(想定ターゲット)として紹介していますが、一般消費者よりというよりは、B to B向け、、特に時短・効率が求められる工場(それこそ縫製工場など)が抱える問題を解決するアイテムではないか?と思いました。
残り日数はまだあるので、引き続き頑張って欲しいですね。
■ 詳細はこちら
https://www.makuake.com/project/hakaruno/
■ 関連記事はこちら
採寸の手間から解放!測った数値を瞬時にスマホへ IoTメジャー「hakaruno」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1802/06/news082.html
■ 在庫リスクゼロの新流通システム、シタテルが生産一体型コマース「スペック」始動
ベンチャー関連です。
衣服生産プラットフォームを運営するベンチャーの「シタテル」から、新しいサービスの発表です。
4月からアパレル・ファッション業界を中心にシステムの提供を開始するようで、ポイントは「欲しい人の数だけ商品をつくる」仕組み。
公式サイトのイメージ図から、すべてを読み取るのは難しいですが、導入する顧客側のメリットとしては、
・スペック上で商品を投稿&欲しい人を集めることで、テストマーケティングができる(受注生産型の強み)
・受注数がないと作れない昔の洋服(数年前に販売し、人気だったモデルなど)の再販ができる
・欲しい人に欲しい分を作るので、無駄な在庫が発生しない(あとでSALEしなくていい)
…あたりかなと妄想してます。
大量の洋服を製造・販売するのではなく、「欲しい人のために、欲しい分をつくる(利益も確保しつつ)」という受注生産型のアプローチが増えることで、消費者側も現代の洋服作りの在り方を見直すきっかけになるのかもしれませんね。
■ 詳細はこちら
https://www.fashionsnap.com/article/2018-02-08/sitateru-spec/
■ SPEC – 公式サイト
https://spec-sitateru.com/
■ 米国三井物産が、カナダのメード・トゥ・メジャーのスーツブランドに投資
海外カスタムオーダー関連です。
オンラインでオーダースーツ・シャツを販売する企業のパイオニアとして知られる「Indochino(インドチーノ)」、数年前からウォッチしていましたが、このニュースには驚きました。
投資目的は「米国のミレニアル世代に支持される理由を勉強するため」とのことで、三井物産もミレニアル世代を意識していることが伺えます。
Indochinoは北米中心に店舗を増やしており、アジア出店時にサポートをするようですが、いずれ日本にも来そうな予感がしますね。。。
「カナダのオーダーメイドスーツブランド・Indochino、日本初上陸」みたいな感じで。
いずれにしろ、Indochinoの動向は要チェックですね。
■ 詳細はこちら
https://www.wwdjapan.com/554936
■ ZOZOSUITに挑む「ECアパレルの黒船」、米オリジナルスティッチCEOの野望
オンラインカスタムシャツブランド「Original Stitch」のCEOを務めるJin Koh氏へのインタビュー記事です。
記事内では、Facebook、Amazon、Netflixなどの企業を例に挙げ、それぞれパーソナライズされたコンテンツの提供が既存産業の脅威になっていると説明。アパレル業界も「パーソナライゼーション化」が進むことは間違いないと断言しています。
すべて読むにはサイトへの会員登録が必要ですが、小売・通販業界の方にはおすすめだなと思い、ピックアップしました。
これは記事とは無関係のぼやいいですが、、会員登録フォームの項目数25個は多すぎる、、せっかく良い記事なので、登録項目を減らして欲しいですね(笑)
■ 詳細はこちら
https://www.sbbit.jp/article/cont1/34558
ZOZOTOWNから新しいサービスの発表です。
今回、新しく始めたのはパーソナルスタイリングの定期購入サービス。
米国を中心に流行っている「スタイリストによるパーソナルな洋服を定期的にお届け」「試着は無料、気に入ったものは購入でき、気に入らなかったものは無料で返品」のトレンドを取り入れたものと見て間違い無いでしょう。
小売・通販業界の方は知っているかもしれませんが、米国ではこのモデルを取り入れた「Stitch Fix」というサービスが急成長しています。
モデルこそ海外のトレンドを取り入れた印象ですが、ZOZOTOWNにはZOZOSUITによる「採寸データ」があるので、これから違う形に昇華していく気がします。
まずは使ってみないとですね。。!
■ お任せ定期便 – 公式サイト
http://zozo.jp/teikibin/
■ プレスリースはこちら
https://www.starttoday.jp/news/20180215-3778/
■ 関連記事はこちら – Stitch Fix
【体験レポ】AIと人によるパーソナルスタイリストサービス「Stitch Fix」を使ってみた
http://shopping-tribe.com/report/29368/
■ オンライン発のオーダーファッションレーベル「FABRIC TOKYO」が渋谷MODIに新店舗をオープン!ひとりで買い物ができる無人オーダーカウンターを設置
国内・カスタムオーダー関連です。
こちら自社のニュースになりますが、2月23日より渋谷MODIへ新店舗をOPENしました。
新店舗には新宿店、銀座店で好評の生地を直感的に選べる「FABRIC WALL」を壁一面に設置し、彩りを感じるお店となっています。
2年前にオープンした渋谷本店に合わせ、本出店で渋谷は計2店舗となりました。
お近くの方は、ぜひ気軽に足を運んでください。。。!
■ 詳細はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000013830.html
■ 実力は「ゾゾ」以上!? 急拡大する中国マスカスタマイズ服のキーマン2人を直撃
海外・カスタムオーダー関連です。
中国でカスタムオーダーの紳士服を扱うECサイト「衣邦人(イーバンレン)」・創業者のファン氏、中国でカスタマイズジーンズを製造する「山東拉峰時装」董事長のリ氏へのインタビュー記事で、中国のアパレル業界においてもマスカスタマイゼーションが急拡大していることを知りました。
この記事を通じ、初めて「衣邦人」を知りましたが、2017年12月の売上高は約9億6千万円、注文はアプリでオーダー&採寸は”採寸師”と呼ばれる担当者がユーザーの元へ足を運び〜採寸、会員数200万人のうち35万人が購入、、、と圧倒的な存在感でした。
中国のカスタマイゼーション化、衣邦人、インダストリー4.0、マスカスタマイズ工場について知れる良記事です。
■ 詳細はこちら
https://www.wwdjapan.com/567368
■ 関連記事
“縫製工場”4.0 キーマンが語る日本の工場の危機
https://www.wwdjapan.com/364235
■ 世界最大の中国スーツ工場が、相次ぎスーツのオンラインSPAに出資
海外・カスタムオーダー関連です。
オーストラリア発のオンラインでオーダースーツ・シャツを作れるスタートアップ「InStitchu(インスティッチュ)」、この記事で紹介したIndochinoと同じく、2013年頃に存在を知りチェックしていましたが、同月でオーダースーツSPAブランド関連のニュースが2つ出てくるのは驚きでした。
InStitchuに投資をした大楊創世は、InStitchuだけでなくIndochinoにも多額の投資をしているため、まさにサプライチェーンの川上からもオンライン・オーダースーツ・シャツ市場を盛り上げようとしているのが伺えます。
中国のオーダースーツ製造企業の目線は世界へ向いていますね。
Indochinoに続き、InStitchuも要チェックです。
■ 詳細はこちら
https://www.wwdjapan.com/571755
■ 関連記事
5万着以上のスーツがユーザによってデザインされているシドニーのオンラインテーラーサービス「InStitchu」
http://thebridge.jp/2013/11/sydney-online-tailors-institchu-raises-funding-at-us2-37m-valuation
■ 中国アパレルRed Collarが挑む完全オーダーメード、型紙のデジタル化で脱OEMを図る
海外・カスタムオーダー関連です。
中国・山東省の青島にあるアパレルメーカー「紅領集団(Red Collar)」の紹介記事で、読み進めると驚きの連続でした。。びっくりした点を抜粋すると、、
・注文フローで「バーチャルフィッティング」が採用されている点
・注文後、約7営業日で商品完了〜発送までできる点
・短納期を支える仕組みとして「洋服の元となる型紙のデジタル化」を実現し、データドリブンな製造モデルができている点
…などが挙げられます。
記事内では「C2M(Consumer to Manufacture)」と表現されていますが、まさに顧客データを即座に反映し、パーソナライズされた商品作りをしている好例ではないでしょうか。
ボリュームたっぷりですが、読む価値あります。それにしても、中国のアパレル企業の伸びが半端ないです。
■ 詳細はこちら
http://digital-innovation-lab.jp/redcollar/
■ オリジナルネイルが作れるアプリ「YourNail」、サイズも含めたフルオーダーメイドに対応
国内・カスタムオーダー関連です。
アプリで自分好みのネイルシールが作れるオーダーメイドネイルサービス「YourNail(ユアネイル)」から、新機能の発表です。
自身が男性でネイルとは無縁、、でしたが、このプレスリリースを読み、従来のネイルシールにおける課題「爪の大きさが一人ひとり違うため、装着時に爪の幅とネイルシールのサイズが合わない」「幅が合わない場合には、ハサミでカットしたりといった手間がかかったりしている」を知るきっかけになり、視野が広がりました。。
いつもアパレル関連のニュース紹介が多くなっていますが、ファッション・ビューティー業界もマスカスタマイゼーション化が進んでいるようですね。
ネイルシールも、人がネイルに合わせる時代ではなく、ネイルが人に合わせる時代なのでしょうね。
■ 詳細はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000027946.html
まとめ
1月に続き、2月も大きなニュース、発表の多い1ヶ月でした。
大きな視点で振り返ると、シタテルやZOZOTOWNからの新サービス発表、海外オンラインオーダースーツブランドへの投資、そして中国のマスカスタマイゼーション最前線、の3つのトピックにインパクトを感じた月だったと思います。
それぞれ発表内容こそ違えど、
①顧客に最適化(パーソナライズ)された商品・サービスの提供をしている
②受注生産型のもの作りをすることで、生産ロスの無駄を省いている
③洋服作りにおいて、大胆にITを取り入れ、新しい価値の提供に挑戦している
….という点は共通しているように感じました。
そもそも、今のアパレル産業は「洋服を作りすぎている」と思うので、シタテルやオーダーメイド事業を手がける各社のように「顧客が求める分だけを作り、届ける」というものづくりの在り方がこれからのスタンダードとなることを願うばかりです。
また同じ業界で働く一人として、そんな未来を作れるよう頑張っていきたいと思います。
おわり。
この記事で紹介した内容は、2018年2月末時点での情報を元にお届けしています。
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